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源泉徴収あり?

株式投資を行う上で、税金の処理方法は非常に重要です。特に「特定口座」を開設する際に選択する「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」は、確定申告の手間や税金の扱いが大きく異なります。

それぞれの違いを、メリットとデメリットを交えて解説します。

特定口座(源泉徴収あり)
概要:
証券会社が、株式の売却益や配当金などにかかる税金を、あらかじめ計算して差し引いて(源泉徴収して)納税してくれる口座です。
メリット:
* 原則として確定申告が不要: 証券会社が納税まで行ってくれるため、自分で確定申告をする手間が省けます。
* 税金の計算が不要: 年間の損益計算をすべて証券会社が行ってくれます。
* 自動で損益通算される: 同じ証券会社の特定口座内の譲渡益(売却益)と譲渡損(売却損)は、自動的に相殺されます(損益通算)。配当金を「株式数比例配分方式」で受け取れば、譲渡損と配当金を自動で損益通算することも可能です。
* 扶養控除などへの影響が少ない: 確定申告をしない限り、株式投資の利益は配偶者控除や扶養控除などの判定基準となる「合計所得金額」に含めなくてもよいとされています。
デメリット:
* 利益が少なくても源泉徴収される: たとえ年間20万円以下の利益であっても、取引の都度、税金が源泉徴収されます。給与所得者で給与以外の所得が年間20万円以下の場合、本来は所得税の確定申告が不要ですが、源泉徴収ありの口座では税金が引かれてしまい、還付を受けるには確定申告が必要になります。
* 損失の繰り越しや他社口座との損益通算に確定申告が必要: 損失が出た場合に、その損失を翌年以降に繰り越して利益と相殺したい場合や、複数の証券会社の口座間で損益通算をしたい場合は、自分で確定申告を行う必要があります。

特定口座(源泉徴収なし)
概要:
証券会社が、年間取引の損益を計算した「特定口座年間取引報告書」を作成してくれますが、税金の源泉徴収は行わない口座です。納税は自分で行う必要があります。
メリット:
* 利益が20万円以下なら確定申告不要(給与所得者の場合): 給与所得者で、株式投資の利益を含む給与以外の所得が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告が不要になります。この場合、税金が引かれないため、無駄な納税がありません。
* 他の所得や他社口座との損益通算がしやすい: 確定申告が前提となるため、他の証券会社の口座や一般口座の損益、さらには譲渡損失の繰り越しといった手続きをスムーズに行えます。
デメリット:
* 原則として確定申告が必要: 利益が出た場合は、原則として自分で確定申告を行う必要があります。ただし、証券会社が発行する「特定口座年間取引報告書」を使えば、計算の手間は大幅に軽減されます。
* 所得金額が増加する: 確定申告をすると、株式投資の利益が「合計所得金額」に加算されます。これにより、配偶者控除や国民健康保険料の算定に影響が出る可能性があります。

まとめ

どちらを選ぶべきか?
* 「税金のことはできるだけ考えたくない」「とにかく手間を省きたい」 という場合は、源泉徴収ありがおすすめです。
* 「自分で確定申告をしても構わない」「他の所得や複数の口座の損益をしっかり管理したい」 という場合は、源泉徴収なしが選択肢になります。
口座開設後も、年単位で源泉徴収の有無を変更できる場合が多いので、ご自身の投資スタイルや状況に合わせて選択すると良いでしょう。