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米国債券

米国債券の主な特徴

世界で最も重要な金融資産

米国債券(米国財務省証券)は、アメリカ合衆国政府が資金調達のために発行する債券です。世界最大の経済大国である米国の政府が発行するため、金融市場において極めて重要な役割を担っており、その特徴は多くの投資家にとって魅力的です。

1. 高い安全性と信用力
米国債券は、発行体である米国政府の信用力により、世界の金融商品の中で最も安全性の高い資産の一つとされています。
* デフォルト(債務不履行)リスクの低さ: 米国政府が元本と利子の支払いを保証しているため、貸し倒れのリスクは極めて低いと評価されています。
* 格付け: 大手の格付け機関(S&P、ムーディーズなど)から非常に高い格付けを付与されています。近年、一部格付け機関による最上位からの格下げがありましたが、依然として世界最高水準の信用力を維持しています。

2. 圧倒的な市場規模と高い流動性
米国債券市場は世界最大であり、取引が非常に活発です。
* 換金のしやすさ: 売買が常に大量に行われているため、売りたい時に売れない、買いたい時に買えないという「流動性リスク」が非常に低く、いつでも時価で換金しやすいのが特徴です。これは、個人のみならず、世界中の中央銀行や機関投資家が取引に参加しているためです。

3. 日本に比べ魅力的な利回り
長年低金利が続く日本国債と比較して、米国債券は相対的に高い利回り(クーポンレート)が期待できます。これは、日米の政策金利の違いに起因します。安定した利子収入(インカムゲイン)を狙う投資家にとって大きなメリットとなります。

4. 世界の基軸通貨「米ドル」建て資産
米国債券は米ドル建てで取引されます。米ドルは世界の基軸通貨であり、国際的な決済や貿易で広く使用されています。資産の一部を米ドルで保有することは、資産の国際的な分散につながります。

米国債券の種類
米国債券は、償還期間(満期までの期間)によって主に以下の3つに分類されます。

 

| 財務省短期証券 (T-Bills) | 1年以下 | 無し | 利子がない代わりに、額面より割り引かれた価格で発行され、満期日に額面金額で償還される「割引債」。 |
| 財務省中期証券 (T-Notes) | 2年~10年 | 年2回 | 定期的に利子が支払われる「利付債」。米国の長期金利の指標として注目される「10年債」がこれに含まれる。 |
| 財務省長期証券 (T-Bonds) | 10年超(主に30年) | 年2回 | 中期証券と同様の利付債。償還期間が最も長く、金利変動の影響を受けやすい。 |

この他に、利付債の元本部分と利子部分を分離して販売される「ストリップス債(ゼロクーポン債)」もあります。

日本の投資家から見たメリットとデメリット
メリット
* 高い安全性と利回り: 安全性を確保しつつ、円建て資産より高い利子収入を期待できます。
* 資産の通貨分散: 資産を円だけでなく米ドルで保有することで、円安局面での資産価値の目減りを防ぐ効果が期待できます。
デメリット(主なリスク)
* 為替変動リスク: 日本の投資家にとって最大のリスクです。債券購入時より円高が進行すると、利子や償還金を円に換金する際に為替差損が発生し、元本割れする可能性があります。逆に円安になれば為替差益が得られます。

* 金利変動リスク: 満期日より前に売却する場合、市場金利が上昇していると債券価格は下落します。そのため、購入時より低い価格でしか売れず、損失が出る可能性があります。
結論として、米国債券は高い安全性と流動性を持ち、魅力的な利回りを提供する一方で、日本の投資家にとっては常に為替リスクが伴います。投資を検討する際には、これらの特徴とリスクを十分に理解することが重要です。