とうもろこしは、私たちの食卓にも身近な作物ですが、実はたくさんの「不思議」を持っていますね。いくつかご紹介します。
* 人間がいないと生きられない?
* 現在のとうもろこしは、野生の原種がそのままの形では存在しないと考えられています。メキシコなどに生えていた「テオシント」というイネ科の植物が祖先とされますが、長い年月をかけて人間が品種改良を重ねてきました。
* その結果、とうもろこしの実は硬い皮(苞葉:ほうよう)に何重にも包まれており、自然に地面に落ちても発芽することが難しくなりました。人間が皮をむき、粒を蒔いてあげないと、次の世代を残すことができないのです。人間との共生関係にある、とても珍しい植物です。
* ひげの数と粒の数は同じ?
* とうもろこしの「ひげ」(絹糸:けんし)は、めしべの一部です。ひげの一本一本が、それぞれ一つの粒(実になる部分)につながっています。
* てっぺんにある雄穂(ゆうすい)から花粉が飛んできて、このひげに付着することで受粉します。受粉がうまくいったひげに対応する粒だけが、大きく実ります。だから、基本的にひげの数と粒の数はほぼ同じになるのです。
* 驚くほどの多様性
* 私たちが普段よく食べる甘い「スイートコーン」以外にも、ポップコーン用の「爆裂種」、家畜の飼料やコーンスターチの原料になる「デントコーン」、硬くて保存性の高い「フリントコーン」、もちもちした食感の「ワキシーコーン」など、たくさんの種類があります。
* 色も黄色だけでなく、白、紫、赤、黒、さらには虹のようにカラフルな粒を持つ品種(グラスジェムコーンなど)も存在します。
* ポップコーンはなぜ弾ける?
* ポップコーン用のとうもろこし(爆裂種)は、粒の皮が非常に硬く、内部に水分とデンプン質を含んでいます。
* これを加熱すると、内部の水分が水蒸気になって体積が膨張し、硬い皮の内側から強い圧力がかかります。
* この圧力が皮の強度を超えると、一気に破裂!同時に、高温で柔らかくなっていた内部のデンプン質が急激に膨らんで、あの独特のふわふわした形になるのです。スイートコーンでは皮が柔らかすぎたり水分量が適切でなかったりするため、うまく弾けません。
* 食料だけじゃない幅広い用途
* 食用はもちろん、家畜の大切な飼料として大量に使われています。
* デンプン(コーンスターチ)は、食品(お菓子、増粘剤など)だけでなく、工業用の糊や段ボールの接着剤などにも利用されます。
* 近年では、とうもろこしからバイオエタノールという燃料を作ったり、生分解性プラスチックの原料にしたりする技術も進んでいます。
とうもろこしは、人類の歴史や食文化、さらには工業に至るまで、非常に深く関わっている、まさに「不思議」と魅力にあふれた植物と言えるでしょう。