土地

アースバックハウス

アースバッグハウスは、土を詰めた袋を積み上げて作る建築方法を用いた家屋です。主にポリプロピレン製の袋に土(赤土、砂、粘土などの混合土)や砂利などを入れ、それをレンガのように積み重ねて壁を構築します。ドーム型など曲線的なデザインが多いのが特徴です。

アースバッグハウスのメリット
* 環境負荷が低い: 主な材料が土であるため、環境への負荷が少なく、地域で調達できる材料を活用できます。
* 高い断熱性: 厚い土壁は蓄熱性が高く、夏は涼しく冬は暖かい、優れた断熱性能を持ちます。これにより、冷暖房費の削減にもつながります。
* 高い強度と耐災害性: ドーム型などの曲線的な構造は、カテナリー曲線の原理により重力に対して安定した強さを持ち、地震や台風などの自然災害に強いとされています。また、土は不燃材であるため、火災にも強いです。

* コスト削減: 材料費を安く抑えられ、セルフビルドも可能なので人件費を抑えることができます。ワンルームのドーム型であれば、セルフビルドで1万円程度から建設できる例もあります。

* デザインの自由度: 曲線的なデザインを自由に表現でき、ユニークでかわいらしい外観に仕上がります。
* ローテクニック: 土を袋に詰めて叩き固めるというシンプルな技術で、専門的な知識がなくても比較的容易に取り組めます。

アースバッグハウスのデメリット
* 建設に時間と労力がかかる: 土を袋に詰めて積み上げる作業は、かなりの肉体労働を伴い、時間もかかります。仲間と協力して作業することが推奨されます。
* 湿気対策の必要性: 日本のような多湿な気候では、防水対策が重要になります。初期の工法では、土壁の防水性が課題となるケースもありましたが、現在は漆喰や適切な塗装剤を使用するなど、防水性を高める工夫がされています。

* 配管・配線の難しさ: 壁が厚いため、配管や配線の設置が一般的な住宅よりも難しくなる場合があります。
* 法規制への対応: 日本の建築基準法では、木造、鉄骨造、RC造が主な構造として認められており、アースバッグ工法は現状ではこれらに当てはまらないとされています。そのため、宿泊施設などとして建てる場合は、既存の構造を取り入れたり、地方自治体との協議が必要になることがあります。

 

日本での状況と法規制
アースバッグ工法は、日本でも少しずつ注目されており、実際に宿泊施設として営業許可を得ている事例も複数あります。これは、アースバッグ部分を日本の建築基準法で認められている木造やRC造などの構造物と組み合わせることで、法規制をクリアしているケースが多いようです。

ただし、自治体によって判断が異なるため、建設を検討する際は事前に相談することが重要です。

主な材料
アースバッグハウスの主な材料は、以下の通りです。
* 土嚢袋: ポリプロピレン製の袋。
* 土: 現地の土、赤土、砂、粘土、砂利などを混ぜたもの(アースミックス)。土の特性に合わせて、消石灰やセメントなどを配合することもあります。
* 有刺鉄線やダボ石: 積み上げた袋のずれを防ぐために使用されます。
* 防水材: 外壁には漆喰やモルタル、防水剤などを塗布して防水性を高めます。
アースバッグハウスは、環境に優しく、災害に強い魅力的な選択肢ですが、建設には労力と時間、そして日本の法規制への理解が必要になります。

 

興味があれば、ワークショップなどに参加して、実際に体験してみるのも良いでしょう。

 

瑞慶覧達成