「全世界株式投資」は、世界中の株式市場に幅広く分散投資を行うことです。主に投資信託やETFを通じて行われ、これ1本で日本を含む先進国から新興国まで、様々な国・地域の株式に投資できる点が特徴です。
全世界株式投資のメリット
* 世界経済の成長を取り込める: 特定の国に偏らず、世界の経済成長全体の恩恵を受けられる可能性があります。どの国が将来的に成長するかわからないという不確実性に対して、最も効率的な投資方法の一つとされています。
* 分散投資によるリスク低減: 複数の国や地域に分散投資することで、特定の国や地域の経済情勢が悪化しても、他の国や地域の成長でカバーできる可能性があります。これにより、リスクを軽減し、安定した運用を目指せます。
* 運用コストが比較的低い: 全世界株式に連動する投資信託(インデックスファンド)は、アクティブファンドに比べて運用コスト(信託報酬)が低い傾向にあります。
* 少額から始められる: 証券会社によっては、100円といった少額から投資信託の積立投資が可能です。投資初心者でも手軽に始められます。
* NISA(新NISA)との相性が良い: 長期的な分散投資に適しているため、NISAの非課税制度を活用することで、効率的に資産形成を進められます。
全世界株式投資のデメリット・注意点
* 米国株の影響を強く受ける: 全世界株式の投資対象は、現時点では米国株の割合が約6割と高く、米国市場の動向に大きく左右される傾向があります。
* S&P500(米国株)と比較してリターンが劣る可能性: 過去のデータを見ると、米国株(S&P500など)に集中投資した場合の方が、全世界株式に投資した場合よりもリターンが高い時期もあります。これは、米国の経済成長が近年非常に好調だったためです。ただし、将来も米国が常に最高のパフォーマンスを出すとは限りません。
* カントリーリスクの高い国も含まれる可能性: 新興国など、政治情勢や経済状況が不安定な国も投資対象に含まれるため、カントリーリスクを考慮する必要があります。
* 為替変動の影響: 基本的に為替ヘッジを行わない商品が多いため、円高が進む局面では円換算の利益が目減りする可能性があります。
* 株式に集中している: 全世界株式は、その名の通り「株式」に特化した投資です。リスク低減を図るなら、株式以外の資産(債券、不動産、金など)にも分散投資を行うことが有効です。
全世界株式投資におすすめの投資信託・ETF
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、その低コストと分散性の高さから、特に投資初心者におすすめされる代表的なファンドです。通称「オルカン」とも呼ばれ、多くの投資家から支持されています。
その他にも、以下のような全世界株式に連動する投資信託やETFがあります。
投資信託:
* eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
* たわらノーロード全世界株式
* SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま(全世界株式))
* 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・VT)
ETF(上場投資信託):
* バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)
これらの商品は、いずれもMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)やFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスといった、全世界の株式市場の動きに連動するインデックスへの連動を目指しています。
全世界株式投資の検討ポイント
* 投資目標とリスク許容度: 全世界株式投資は、長期的な資産形成を目指す「守りの投資」に適しています。高いリターンを短期で狙いたい場合は、他の投資手法も検討が必要です。
* NISA(新NISA)の活用: 全世界株式投資はNISAのつみたて投資枠で利用できる商品が多いため、非課税メリットを最大限に活用することをおすすめします。
* 他の資産との組み合わせ: 全世界株式だけでポートフォリオを組むことも可能ですが、よりリスクを抑えたい場合は、債券など他の資産クラスとの組み合わせも検討すると良いでしょう。
全世界株式投資は、世界の成長を取り込みつつリスクを分散できる有効な手段ですが、メリット・デメリットを理解した上で、ご自身の投資計画に合わせて判断することが重要です。