VIX(恐怖指数)は、米国のS&P500株価指数を対象としたオプション取引の価格変動に基づいて、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公表している指数です。将来の市場のボラティリティ(変動率)に対する投資家の期待を反映しているため、「恐怖指数」とも呼ばれています。
VIX指数の計算は、以下の3つの基本的なステップに分けられます。
* 計算に含めるS&P500オプションの選択:
* VIXは、S&P500指数のプットオプション(売る権利)とコールオプション(買う権利)の価格を基に計算されます。
* 特に、満期まで23日から37日程度の、期近と期先の2つの期間のオプションが選ばれます。
* 権利行使価格(ストライクプライス)が幅広い範囲で、かつBID(買い気配値)がゼロでないオプションが対象となります。ボラティリティの変動に応じて、対象となるオプションの範囲も変化します。
* 選択したオプションのウェイト(比重)の決定:
* 選択された各オプションに対して、その市場価格に基づいてウェイトが決定されます。
* これは、オプションの市場価格から逆算される「インプライド・ボラティリティ(Implied Volatility)」を基にしています。インプライド・ボラティリティとは、オプション価格に織り込まれている将来の変動率の予測値のことです。
* VIXの計算では、ブラック・ショールズなどのオプション価格モデルを使用するのではなく、市場のオプション価格から直接ボラティリティ(正確には分散)を導き出す独自の数式が用いられます。
* 数式の適用とVIX指数の算出:
* 選択されたオプションの価格とウェイト、そして満期までの残存期間を考慮して、特定の数式を適用します。
* この数式は、期近と期先の2つの期間のオプションから計算されるそれぞれの分散(ボラティリティの2乗)を補間し、30日間の期待ボラティリティを算出するものです。
* 算出されたボラティリティ(標準偏差)に100を掛けることで、VIX指数が求められます。
簡単に言うと、VIXはS&P500の30日間の予想変動率を年率換算したもので、オプション市場の価格からリアルタイムで計算されています。投資家が将来の市場の変動に対してどれくらいの「保険」(オプション)をかけているかを示す指標であり、数値が高いほど市場の不確実性や不安感が高いと判断されます。