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軍産複合体

「軍産複合体(ぐんさんふくごうたい)」とは、軍隊(政府・国防機関)、軍需産業、そして政治家や研究機関(大学・シンクタンクなど)が、相互に連携し、軍事力の維持・拡大、そしてそれに伴う利益の追求を目指す、強力な結合関係を指す言葉です。

私が地域幸福論の講義を大学で行った際もシンクタンクについて話しあいました。

特にアメリカ合衆国において、第二次世界大戦後の冷戦期にその概念が広く知られるようになりました。

当時のアイゼンハワー大統領が退任演説で「軍産複合体」の影響力増大に警鐘を鳴らしたことは有名です。

軍産複合体の主な要素と仕組み
* 軍部・政府: 国防戦略の策定、兵器の調達計画、軍事予算の編成などを行います。
* 軍需産業: 兵器、軍事技術、関連サービスなどを開発・製造し、軍部へ提供します。主要な軍需企業は、安定した受注を確保するため、政府や議会に対して様々な働きかけを行います。

* 政治家・議会: 軍事予算の承認、軍事関連法案の制定など、軍事政策に大きな影響力を持っています。軍需企業からの政治献金やロビー活動を受け、その企業の利益に資する政策決定を行うことがあります。
* 研究機関・大学: 軍事技術の研究開発に携わり、政府や軍需産業から研究資金を受け取ります。これにより、「軍産学複合体」と呼ばれることもあります。
* 「回転ドア」: 政府や軍の高級官僚が退職後、軍需産業の要職に就く、あるいはその逆のケースがあることを指します。これにより、政府・軍と産業界の間に緊密な人的ネットワークが形成され、相互の利益を促進する傾向があります。
* メディア・シンクタンク: 軍事的な脅威を強調したり、軍事行動の必要性を訴えたりすることで、世論を形成し、軍事費増大を後押しする役割を果たすことがあります。

批判される点
* 軍拡の推進: 軍産複合体の存在は、戦争や紛争がないと兵器の需要が減るため、意図的に国際情勢を不安定化させ、軍拡を促す傾向があるという批判があります。
* 非効率な軍事支出: 利益追求が優先され、国民の税金が不必要に高価な兵器システムや過剰な軍事力維持に費やされるという批判があります。
* 民主主義への影響: 巨大な経済力と政治的影響力を持つ軍産複合体が、民主的な意思決定プロセスを歪める可能性があると指摘されています。
日本における軍産複合体
日本においても、防衛産業と防衛省(自衛隊)、そして国会議員の間で、ある種の連携関係は存在します。しかし、アメリカのような巨大な「軍産複合体」として認識されることは比較的少ないです。

日本の防衛産業の特徴として、
* 防衛依存度が低い: 多くの企業にとって防衛事業はごく一部であり、企業の売上全体に占める割合は小さいケースが多いです。
* 顧客が限定的: 事実上、防衛省(自衛隊)が唯一の顧客であり、量産効果が働きにくく、利益率が低いとされています。
* 武器輸出の制約: かつての「武器輸出三原則」など、武器輸出に厳しい制約があったため、国際的な市場での競争力が限られていました。
しかし近年、安全保障環境の変化や「防衛生産基盤強化法」の成立などにより、日本の防衛産業の基盤強化や国際共同開発・輸出への動きが活発化しています。これにより、日本においても軍事と産業、政治の連携がより深まる可能性が指摘されることがあります。

現在の沖縄から見ても、在日米軍基地の存在は、米国の軍事複合体の一部として、沖縄の経済や社会に大きな影響を与えている側面があるとも言えるでしょう。