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ライバル減少

 

日本の農家人口は減少の一途をたどっており、これは日本の食料生産や地域社会に大きな影響を与える深刻な問題です。

農家人口減少の現状
* 継続的な減少: 農業従事者数は年々減少しており、2015年から2023年の8年間で約65万人も減少しています。
* 高齢化の進行: 基幹的農業従事者の平均年齢は約70歳と非常に高く、65歳以上が全体の約7割を占めています。高齢化が進むことで、体力的な限界や後継者不足が深刻化しています。
* 新規就農者の伸び悩み: 新規就農者数は横ばい、あるいは微減傾向にあり、離農者数を上回る新規参入がないのが現状です。ただし、農業法人に雇用される形での新規就農者や、40代以下の新規就農者は増加傾向にあるという明るい兆しもあります。
* 兼業農家の減少: 特に兼業農家の数が目立って減っており、地域コミュニティの活力低下にも影響が懸念されています。
農家人口減少の主な原因
* 農業従事者の高齢化と後継者不足: 長年農業を支えてきた世代が引退時期を迎え、その多くに後継者がいないことが最大の要因です。
* 若者の農業離れ: 農業が「きつい」「儲からない」「不安定」といったイメージを持たれやすく、若い世代が農業に魅力を感じにくい傾向があります。

* 労働環境の問題: 農業は季節によって作業量が大きく変動し、労働時間が不規則になることや、一般的な企業のような福利厚生が整っていないことなどが挙げられます。
* 新規就農のハードルの高さ: 農地の確保、初期投資、技術習得など、新規で農業を始めるには高いハードルがあります。
* 地方の人口減少: 農業が盛んな地方では、少子高齢化と都市部への人口流出が加速しており、農業分野の人手不足を一層深刻化させています。

農家人口減少がもたらす影響
* 食料自給率の低下: 農業生産力の低下に直結し、日本の食料自給率のさらなる低下を招く恐れがあります。これは、国際的な食料需給の不安定化や価格変動の影響を受けやすくなることを意味します。
* 耕作放棄地の増加: 農業従事者の減少は、耕作されなくなる農地(耕作放棄地)の増加を招きます。これにより、景観の悪化、生物多様性の喪失、さらには土砂災害のリスクを高める可能性があります。
* 地域経済の衰退: 農業は地方の基幹産業であり、その衰退は地域経済の活性化を阻害し、地域コミュニティの維持を困難にします。
* 多面的機能の低下: 農業は食料生産だけでなく、国土保全、水源涵養、景観形成など、多くの「多面的機能」を持っています。農家人口の減少は、これらの機能の維持を困難にします。
* 技術・ノウハウの喪失: 長年培われてきた農業の技術やノウハウが、後継者不足によって継承されずに失われる可能性があります。

農家人口減少への対策
様々な方面からの対策が進められています。
* スマート農業・DXの推進:
* AI、IoT、ドローン、ロボットなどの先端技術を導入し、省力化、効率化、精密化を図ることで、少ない人数でも高い生産性を実現します。
* スマート農業技術の導入率は増加傾向にあり、特に稲作分野で高い導入率を示しています。
* 労働環境・就労条件の改善:
* 年間を通じた作業量の平準化、明確な給与形態、休暇取得の促進など、働きやすい職場環境を整備し、就農希望者が安心して働ける体制を構築します。
* トイレや更衣室などの衛生環境の改善も重要です。
* 新規就農者の確保・育成:
* 新規就農者への支援制度(補助金、研修制度など)の拡充。
* 企業が農業に参入しやすい環境を整備し、雇用機会を創出します(法人経営体の増加につながる)。
* 「農の雇用事業」など、政府による就農促進支援策を強化します。
* 農地の集約・規模拡大:
* 分散している農地を一括して借り受け、まとまった農地を担い手に再配分する「農地バンク」などの事業を推進し、効率的な農業経営を可能にします。
* 多様な人材の確保:
* 外国人材(技能実習生、特定技能など)の活用を推進し、労働力不足を補います。
* 兼業農家や地域住民との連携を強化し、地域全体で農業を支える仕組みづくりを進めます。

「稼げる農業」の実現
* 農産物の高付加価値化、ブランド化、国内外への販路拡大などにより、農業所得を向上させ、農業を魅力的な産業にしていきます。
* 6次産業化(生産・加工・販売の一体化)を推進し、収益力を高めます。
これらの対策を総合的に進めることで、日本の農業が持続可能となり、食料の安定供給と豊かな地域社会の維持が期待されます。