法律

パワハラ問題

会社におけるパワハラ対策は、2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)により、大企業ではすでに義務化されていましたが、2022年4月からは中小企業を含むすべての企業において、パワハラ防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務付けられています。 したがって、2024年以降もこの義務は継続しており、企業は引き続き適切な対策を行う必要があります。

2024年以降のパワハラ対策におけるポイント
2024年以降のパワハラ対策において、特に注目すべき点は以下の通りです。

* 「パワハラ防止法」の全面適用と継続した義務
* 2022年4月より、大企業だけでなく中小企業にもパワハラ防止措置が義務化されたため、2024年以降もすべての企業がその義務を果たす必要があります。
* この義務は、企業が従業員を雇用する上で、安心・安全な職場環境を提供するという「安全配慮義務」の一環として位置づけられています。
* 企業に求められる具体的な措置(再確認)
以下の4つの措置は、継続して企業に求められています。
* 事業主の方針の明確化と周知・啓発
* パワハラの内容、パワハラを行ってはならない旨の方針を明確にし、従業員に周知・啓発すること。
* パワハラ行為者に対しては厳正に対処する旨の方針と、具体的な対処内容を就業規則などに規定し、従業員に周知すること。
* 相談体制の整備
* パワハラの相談に応じ、適切に対応するための相談窓口を設置すること。
* 相談窓口の担当者が適切に対応できるよう、十分な研修を行うこと。
* 事後の迅速かつ適切な対応
* パワハラが発生した場合、事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
* 事実確認ができた場合は、被害者への配慮(配置転換など)や、加害者への適切な措置(懲戒処分など)を講じること。
* 再発防止に向けた措置を講じること。
* プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
* 相談者や関係者のプライバシーを保護するための措置を講じ、労働者に周知すること。
* 相談したことなどを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
* カスタマーハラスメント対策の強化(新たな動き)
* 近年、従業員が顧客や取引先などからのハラスメント(カスタマーハラスメント)に苦しむケースが増加しており、2024年以降、労働施策総合推進法の改正により、カスタマーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を講じることが企業に義務付けられる動きが進んでいます。 (具体的な施行時期は今後の国会での議論によりますが、法改正の検討は2024年内にまとめられ、2025年の通常国会で関連法案提出を目指していると報じられています。)
* これは、社内だけでなく、社外からのハラスメントに対しても企業が責任を持つべきという考え方が強まっていることを示しています。
* 就活生へのハラスメント対策の強化(新たな動き)
* 上記カスタマーハラスメント対策と同様に、**就職活動中の学生へのハラスメント(就活ハラスメント)についても、企業への防止措置義務化に向けた検討が進められています。**これも2024年以降の重要な動きとして注目されています。
企業がすべきこと(2024年以降も共通)
* 社内規定の再確認と整備: 就業規則などにパワハラの定義、禁止行為、相談窓口、処分内容などを明記し、従業員に周知徹底すること。
* 研修の実施: 管理職や全従業員を対象に、パワハラに関する研修を定期的に実施し、意識向上と知識の定着を図ること。特に、ハラスメントのグレーゾーンや、適切な指導との境界線について理解を深めることが重要です。
* 相談しやすい環境づくり: 相談窓口の周知徹底、匿名での相談を可能にする、相談者のプライバシー保護を徹底するなど、従業員が安心して相談できる環境を整備すること。
* 定期的な実態把握: 社内アンケートなどを実施し、ハラスメントの実態を把握し、早期発見・早期解決に努めること。
* 外部専門家との連携: 必要に応じて、社会保険労務士や弁護士などの外部専門家からアドバイスを受けたり、外部の相談窓口を設置したりすることも有効です。
2024年以降も、企業はパワハラに対する意識と対策をさらに強化し、誰もが安心して働ける職場環境の実現を目指すことが求められています。