現代人が漢字を書けない、あるいは書く能力が低下していると感じる主な理由は、以下の点が挙げられます。
デジタルデバイスの普及
* パソコンやスマートフォン、タブレットが広く使われるようになり、文字入力のほとんどがキーボードやフリック入力によるものになりました。
* これらの入力方法は、読みを入力すれば漢字候補が表示されるため、正確な形や書き順を覚えていなくても漢字を入力できてしまいます。これにより、漢字の「形」を記憶から呼び出して書くという作業が大幅に減少しました。
手書き機会の減少
* デジタル化により、手紙やメモ、書類作成など、従来手書きで行っていた作業の多くがパソコンやスマホに置き換わりました。
* 仕事でもプライベートでも、手書きで文章を書く機会そのものが減っているため、漢字を書く練習量が不足しがちです。
「読む」ことと「書く」ことの違い
* デジタルデバイス上でも漢字を目にする機会は多いため、「読む」能力は維持されやすい、あるいは向上している可能性もあります。
* しかし、「書く」ためには、漢字の形、構成、書き順などを正確に思い出す必要があります。これは「読む」こととは異なる能力であり、実際に書く練習をしないと衰えやすいものです。
漢字の複雑さ
* 漢字は数が多く、形も複雑なものが少なくありません。記憶を維持するためには、ある程度の反復練習が必要ですが、その機会が現代生活では減っています。
これらの要因が組み合わさることで、いざ手書きしようとすると「ど忘れして書けない」「細かい部分が思い出せない」といった状況が起こりやすくなっていると考えられます。